2008年10月16日
化学工業日報に『リップグロス新処方開発』が掲載されました。
2種のオイルゲル化剤併用
結晶形成なく安定 滑らかな使用感実現
岩瀬コスファはこのほど、リップグロスの新処方を開発した。化粧品のオイルゲル化剤に利用される「デキストリン脂肪酸エステル」(DP)と「(べへン酸/エイコサンニ酸)グリセリル」(GBE)を併用することで、滑らかな使用感のリップグロスが製造できることを見いだした。結晶形成をともなわないでオイルゲルが形成できるため外観は透明になり、安定性にも優れている。両オイルゲル化剤と4種類の油剤を組み合わせたモデル処方を組み、化粧品メーカーへの紹介を開始した。
岩瀬コスファが開発したモデル処方は、オイルゲル化剤のDPとGBEのほか、水添ポリイソブテン、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、水添ロジ酸ペンタエリスリチルとイソステアリン酸オクチルドデシル混合物、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル-の4種の油剤からなる。
同社はまず、幅広い油剤のオイルゲル化剤に用いられているDPを用いて、各種油剤の10%DP高濃度オイルゲルを調整し透明性の検討を行った。その結果、水添ロジン酸ペンタエリスリチル、イソステアリン酸オクチルドデシル混合物を用いたDP配合オイルゲルは今までにない透明性を示した。また、この透明性は屈折率から来ており、1.48付近の屈折率が特異的な透明領域であることがわかった。
一方、GBEは少量で高いゲル強度が得られ、W/Oエマルジョン製剤の乳化安定剤や増粘剤として幅広く利用されている。微細な結晶を構成することで油剤をゲル化させる。
DPはワックスなどのオイルゲル化剤と併用するとワックスの結晶形成を抑制できるが、ゲル強度も低下する。そこで、同社はDPとGBEの併用効果を確認したところ、DPの比率が高いときはワックス結晶が認められなかった。
結晶形成しないでオイルゲルを形成できる特性を有するため、外観が透明なオイルゲルの調整が可能となる。また、ゲル強度の減少も少なかった。DPとGBEの比率が7対3のとき、屈折率1.486~1.493で透明性に優れた領域が認められた。
そこでモデル処方を組み、固形リップグロスを作成したところ、5度C環境下で1ヶ月間経過後も結晶溶出は認められず、安定性に優れていた。ゲル強度については、DP単独配合処方より低いものの、オイルゲルのもろさがなく、滑らかな使用感になる。40度C環境下で1ヶ月保存したが流動性に変化はなく、熱安定性に優れていた。
(化学工業日報10月8日掲載)