2007年07月23日
油脂特集・化粧品原料2007に記事が掲載されました。
『中国は現地法人で独自の調達機能も商社機能に加え研究開発の充実を図る』
岩瀬コスファは、5ヵ年の中期経営計画の3年目を迎えているが、売り上げは160億円を超え、順調に推移している。
化粧品メーカーが海外への展開を積極的に進めるのに歩調を合わせ、同社もグローバルな展開を推進している。中国には、すでに上海と広州に現地法人から原料を輸出するという形をとっていたが、今は現地で直接売り買いできるようにしている。日経の化粧品メーカーだけではなく、欧米のメーカーや現地メーカーへの販売も増やしている。現地法人とは別に中国の北京と上海には、日本からの出先事務所も置かれている。また、米国には、ニュージャージーに支店を置き、日本からの輸出の窓口になると同時に、新規原料の探索や日本への紹介も行っている。
また、同社は商社機能に止まらず、研究体制の充実を図っている。今年も研究部門に2人の新人を採用している。研究開発を充実させ、処方の提案を積極的に行い売上げにつなげていこうというもの。
好調に売上げを伸ばしているのは、「アルブチン」と「Tornare(トルナール)」。
「アルブチン」は、メラニン色素の生成を阻害することで、美白効果が認められた医薬部外品の有効成分であり、基本特許が切れたことでより幅広く使われるようになっている。同社は独自の処方を開発し販売を伸ばしている。
「Tornare(トルナール)」は、トレハロースに数個のグルコースが結合したグリコシルトレハロースを主成分とする新しい糖組成物。細胞賦活、細胞保護、抗炎症、肌荒れ抑制などの効果があり、グリセリンなど保湿性の高い多価アルコール基剤と併用することで、起泡力と泡もちを高める働きがある。スキンケア商品はもちろん洗顔フォームなどに使用されている。
アンチエイジング素材として開発された「AC-11」(CAEs8%含有キャッツクローエキス)は、美白効果にも優れており、シワ改善効果も期待できる。この商品は南米ブラジル、ペルー、エクアドルなどアマゾン熱帯雨林原産のアカネ科ウンカリア属の植物より抽出物では確認されていなかった新規成分(カルボキシアルキルエステル)が紫外線により効果を有するといわれている。
シワ改善効果が期待される有効成分にレイチノールがあるが、同社が販売元となっている「RetiSTAR」(BASFジャパン製造)は、レチノールのトリ(カプリル酸/カルリン酸)グリセリル溶液。
ただ、シワ改善などの効果が期待できる素材は数多く開発されており、シワの定義、計測、方法、測定方法などはすでに決められているものの、抗シワ効果をうたうことは今のところできない。いずれ抗シワ効果の表示が認められる可能性もあり、今は各社とも「しわ」について啓蒙して行こうという段階だ。
(2007/8月号/vol.60)