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2008年のお知らせ

FOODSTYLE21に『毛穴、シミ、シワのトリプルアンチ・・・』の記事が掲載されました。

02/04
FOODSTYLE21(2008/2月号)

岩瀬コスファ?ヘルスケア事業部 渡辺潤一

毛穴、シミ、シワのトリプルアンチエイジング

はじめに
「美しくなりたい」「いつまでも若々しくありたい」と願うのは女性を中心として人類永遠の願いである。そのような願いをかなえる方法として、顔面美容分野でシミ、シワ、毛穴目立ちを改善することは大変有効な手段である。それらを改善する化粧品は数多く開発されているが、同じような効果の美容食品開発も強く望まれている。我々は化粧品と食品の両分野においてそのような美容的知見や実績のある新素材を複合した美容・アンチエイジング食品素材「ACGコンプレックス」を?林原生物化学研究所の協力を得て、?アイ・ティー・オー、焼津水産化学工業?、国立大学病院らと共同開発した。そして健常人ボランティア25名による経口摂取試験を行い、アンケート調査と顔画像撮影解析装置を用い肌の改善状態を客観的に分析したので紹介する。

1.『ACGコンプレックス』の配合素材
1-1.L-アスコルビン酸2-グルコシド
ビタミンCの2位の水酸基がグルコース1分子で置換された安定型ビタミンC誘導体である。ビタミンCの美肌効果としてはメラニン産生抑制、生成メラニンの淡色化、紫外線による過酸化脂質の生成抑制や真皮の主要たん白質であるコラーゲンの合成促進などがよく知られている。しかしビタミンCは熱・光等により容易に酸化され不活性化されてしまう。またコラーゲンとの同時摂取は肌の細胞外マトリックスを合成促進する最適な組み合わせであるが、製品中ではたん白変性を起こし食品の変色、呈味の劣化などを起こしてしまうといった欠点を持っている。化粧品分野においては上記のビタミンCのメリットを活かしながら、その不安定さを克服するために脂肪酸エステル、硫酸エステル、リン酸エステルなど各種ビタミンC誘導体が開発利用されてきた。岡山大学と?林原生物化学研究所のグループが開発した新規ビタミンC誘導体、L-アスコルビン酸2-グルコシドは ’94年の医薬部外品(美自用化粧品主剤)としての承認以降、その安定性、溶解性、配合禁忌性のなさ、効果持続性、安全性などのメリットから急激に利用が広まっている。このL-アスコルビン酸2-グルコシドが’04年に食品添加物(栄養強化剤)として承認され、翌年より食品分野向けに商品名「アスコフレッシュ®」として上市された1,2)。

1-2.N-アセチルグルコサミン
N-アセチルグルコサミンはカニ、エビなどの甲殻類外皮に含まれる天然多糖類キチンを構成する単糖であり、分子内にアミノ基を持つアミノ糖の一種である。また肌の保湿成分として知られるヒアルロン酸はN-アセチルグルコサミンとグルクロン酸が交互に結合したムコ多糖類である。加齢とともに減少するヒアルロン酸を補給することは肌の老化を抑える上で有効であることが知られている。経口摂取されたN-アセチルグルコサミンの約24%は体内に吸収され組織に移行することが示されており、ヒアルロン酸を補う目的において効率的である。またN-アセチルグルコサミンとコラーゲンペプチドを同時摂取すると、損傷軟骨や腱の合成・治癒促進効果、 2型コラーゲンの合成促進効果があることが報告されている3)。焼津水産化学工業?は従来の化学合成法ではなく、甲殻類外殻を出発原料として酸・酵素分解・RO膜分離法による天然型の食品・化粧品用N-アセチルグルコサミンの工業生産に成功し、製品名「マリンスイート®」として上市している4,5)。

1-3.フィッシュ・コラーゲンペプチド
コラーゲンは細胞外マトリックスの主たん白質であり、真皮たん白質の約70%を占めている。近年コラーゲンペプチドを利用した美容食品や化粧品が多数商品化され、肌の保湿、弾力性、滑らかさ、抗シワなど美肌効果が数多く報告されている。また、その作用機序も単に経口摂取したコラーゲンペプチドが消化吸収されて肌に運搬されコラーゲンが合成されるのではなく、コラーゲン由来のジ・トリペプチドが血中に入ることにより皮膚線維芽細胞が活性化しコラーゲン合成を促進するのではないかといった有力な説も示されている。いずれにせよ真皮細胞外マトリックスを合成促進するにはコラーゲンペプチドをビタミンCと同時に摂取することが有効な手段であることは間違いない。

2.試験方法
23歳から62歳までの男女健常人ボランティア25名がエントリーされたが飲み忘れやカゼ引きにより 2名が脱落し、最終的には被験食品摂取群12名、プラセボ摂取群11名が評価の対象となった。試験はACGコンプレックス6.5gとプラセボ6.5gの1カ月間摂取における二重盲検試験とした。なお本試験はヘルシンキ宣言の趣旨に従い試験開始前の段階で全被験者に対し本研究の趣旨を十分に説明し文書による同意を得て実施した。

2-1.検査方法
毛穴目立ち、シミ、UVシミ、シワ項目はCanfield-Sci-entific社製VISIA?Rを用いて左右顔面をデジタル撮影、画像解析し数値化した。

2-2.体感アンケート
肌の「潤い、滑らかさ」、「化粧のり」、「総合的な感じ」の項目について3段階で評価した。

3.結果
3-1.毛穴(色素沈着として)
毛穴目立ちケアは最近の化粧品分野において主要な課題の1つになっている。毛穴目立ちの原因は、?立体的な毛穴の陥没、?毛穴に詰まった脂質の黒化、 ?毛穴周囲の皮膚組織への色素沈着、?毛の太さの拡大などいくつかのパターンがあるといわれている。ACGコンプレックスとプラセボ摂取群の毛穴目立ち増減数では、ACGコンプレックスが -74.67プラセボ群は+43.78で有意な減少が観察された(図1)。またACGコンプレックス摂取群において摂取前後比較では目立つ毛穴の8.22%の減少が観察された(図2)。また画像目視でも明確な改善が観察された(写真1)。ACGコンプレックスはこれら毛穴H立ちに対しメラニン色素沈着抑制・淡色化、立体的陥没改善効果、皮脂過酸化抑制効果など発揮しているのではないかと推測する。

3-2.シミ、UVシミ
シミ、UVシミの改善も美容分野では重要なテーマであり、また美自化粧品はアジアを中心に巨大な市場を形成している。シミ発生の原因やメラニン色素沈着の抑制、淡色化についても多くの研究が行われ、有効成分が開発されている。ACGコンプレックスに配合したL-アスコルビン酸2-グルコシドは美白化粧部外品の主剤として非常に大きなシェアを占めている。古くからビタミンCを多く含んだ果物の摂取と色白の関連性はよく知られている。ACGコンプレックスとプラセボ摂取群のUVシミの減少数では有意差が確認できた(図3)。シミで有意差は確認できなかったが減少傾向は観察された(図5)。またACGコンプレックス摂取群において摂取前後比較で有意差は見られなかったが、平均ではかなりの改善傾向が見られ(図4、6)、画像からもかなりの改善が観察された(写真2)。これらの効果はACGコンプレックスに配合しているL-アスコルビン酸2-グルコシドが、体内にフレッシュなビタミンCを持続的に供給することで発現しているのではないかと考えられる。

3-3.シワ
シワも老化の代表的な変化であり、これを改善することはアンチエイジングの重要な課題である。ACGコンプレックスとプラセボ摂取群のシワの増減数では有意差は確認できなかったが、平均での減少傾向は観察された(図7)。またACGコンプレックス摂取群における摂取前後比較でも有意差は見られなかったが、平均ではかなりの改善傾向が見られ(図8)、画像からもかなりの改善が観察された。ACGコンプレックスはシワに対してコラーゲンとビタミンC、N-アセチルグルコサミンが相乗効果的に働きシワ改善効果を発揮したのではないかと考える。

3-4.アンケート
アンケートは「肌の潤い・すべすべ感」「化粧のり」「総合評価」などの項目を「良くなった」「やや良くなった」「普通・変化なし」の三段階で行った。「肌の潤い・すべすべ感」 ではブラセボ群では「良くなった」と回答した被験者はいなかったが、ACGコンプレックス群では11%の被験者が「良くなった」と回答した。その他ACGコンプレックス群では「クリームをつけなくてもカサつきを感じなくなった」「肌の調子が良くなった」「化粧のりが良くなった」など実感をコメントした被験者が多かった。

おわりに
今回我々が紹介したACGコンプレックスは、それぞれ発生原因が異なる毛穴、シミ、 シワといった顔面美容・アンチエイジング分野での重要なトリプルの課題を同時に改善することが確認された。ACGコンプレックスの効果は顔面のみでなく全身の肌や、爪、毛髪などでも発揮される可能性が秘められていると、思われる。我々はこれからもACGコンプレックスの新しい効果の検討を進めていく予定である。

<<<<参考文献>>>>
1) 三羽信古:ビタミンCの知られざる働き.丸善(1992)
2) 三鼓仁志:Foods Food Ingredients J.Japan., 211(5),(2006)
3) 岡本芳晴ら:キチン・キトサン研究12(2),(2006)2B-10,11
4) 梶本修身ら:新薬と臨床J.New Rem&Clin.49(5),71-80(2000)
5) 久保村大樹ら:FRAGRANCEJOURNAL2006-6,78-81

わたなべ・じゅんいち/Junichi Watanabe
1982年 同志社大学経済学部卒業、1982年?林原商事入社、2002年(株)林原生物化学研究所入社、 2006年岩瀬コスファ?入社、ヘルスケア事業部所属、現在に至る

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